(一部ドラマ半沢直樹のネタバレがあります)
毎週、ドラマ半沢直樹を楽しみにしています。
今度はどんな敵に、どのように立ち向かうのか。
いよいよ、帝国航空という敵が現れました。
今までは銀行内部での勢力争いが多く、正論で通用してきた世界観から、政治という動きの読めない第三の勢力が出てきて、すごく面白い展開になってきました。
先週までのストーリーでは親会社の銀行の伊佐山部長が大きな敵でした。
8月16日の話では、東京中央銀行から出向した帝国航空の永田常務が血祭にあげられ、チーム半沢が団結することが描かれていました。
やはり、半沢直樹は毎回ハラハラしつつ、どう難局を乗り切るのか?というところがわかりやすく、でもわかりやすすぎず、とても刺激的です。視聴者目線でみると、脚本も映像もよくできてると思いました。
フジテレビ系列のスカッとジャパンもそうですが、正義が悪をぶっ潰すのはめちゃくちゃ気持ちがいいし、スッキリします。
正直、憧れる部分があります。
(このドラマを見てると、銀行員ってかっこいい、と思います。笑)
このドラマが共感されるのは、僕は、世の中が“半沢直樹”ではないゆえだと思います。
というのは、当たり前ですが、こんなシチュエーションはあり得ないからです。
(意味は、半沢という一次長が大和田取締役に歯向かうなどといった細かいシチュエーションの話というよりも、そもそもの構図としての話をしたいと思います。 )
こんなnoteを見ました。
為末大さんの、「いると思った巨悪がいなかった場合に」 です。
社会問題の解決に取り組む友人を見ていると、映画のヒーローのように強大な敵に立ち向かっているというよりは、複雑に絡まった糸を解きほぐすように、関係者の思いと、歴史と、利害を調整していく延々と続く根気がいる作業に見えた。これだったらまだどこかに巨悪がいた方がわかりやすいと思うぐらいに。
私は運が良く対立している両側の人と話をしたり、権力側と思われている人と話をする機会があり、全体をコントロールできる人なんていないんだなという視点を持つに至ったが(これもまた一つのバイアスなのかもしれずどこかに巨悪はいるのかもしれないが)、そのような経験を持たない自分だったら、カーテンの向こうで世の中を牛耳っている悪がいるという物語は魅力的に映ったと思う。
僕は、恥ずかしながら、
このnoteを見て、そして16日の半沢直樹を見て、この事実に気づきました。
(正確には、為末さんのnoteでモヤモヤが言語化された、ということに近い感情です。)
当初のブログで、僕はこう書いていました。
大学時代まで、というか、つい最近まで、
世の中は簡単に変えられるのではないか?アイデアさえあれば変えられるのではないかと思っていました。 今まで大人たちは、何をしてきたんだ、と思っていました。
ですが、
それは間違っていました。
世の中は単純じゃないし、単純に見ようとするのは、思考停止に陥っていました。
だれだれを倒せばいい、だれだれを追い出せばいい、そんな単純で世の中が動いていることはありません。
みんな、自分の持ち場で、自分のできる限りのことをしているし、守りたいものを守ろうと努力している。世の中を悪くしようと、シメシメと悪代官のようなことを考えている人がいる場合は楽ですが、いない場合がほとんどだと思います。
だからこそ、○○が悪いんだ!○○を倒せ!というような言説には気を付けないといけないと思います。安倍が悪いとか、電通が悪いとか、都議会自民党が悪いとか、そんなことはありえなくて、みんな頑張っている中で、いかに最適解を出すか。だから世の中はなかなか前に進まないし、ドラスティックなことが起こらない。
以前ブログに書きましたが、
普天間基地の辺野古移設がなかなか進まない中で、やっと動きつつあるのも、沖縄県、名護市、防衛省、外務省、米国国防総省、米軍海兵隊、米空軍、沖縄の土建業、自民党国会議員などなど、さまっざまな利害関係者を調整した結果、今があって「辺野古移設」という結論が導き出されたわけで、
鳩山元首相がおっしゃったような、「腹案」といったふざけたようなものは、そうした苦労をバカにしているとしか言えない気がします。
多分、こういうように前に進まず調整が多いことって、
多くの人は、ビジネスの世界では納得がいくのではないでしょうか。
でも、なぜか普通の世界だとそれが信じられていないような気がします。 パッとわかりやすく解決してほしい。前に進んでいないと、何をしているんだ!と非難される。でも、世の中、しかもこんなに文明が発展した今、何かを守らないといけない人は山ほどいて、その守るものをそれぞれぶつけあいながら、少しずつ、前に進めていくしかない。
ただ、なかなか前に進まず変わらない現状がいい!と、肯定するつもりはないんです。
ですが、何か世の中で、自分も含め、単純な二元論が跋扈しているのが他人事に思えなかったのです。
ちょっとずつでも、何かを前に進めている人が偉いんだと思います。
何もしていない人がとやかく言う権利はないし、ましてや糾弾する権利もない。
(もちろん、確固たる証拠をもって事実を報じるジャーナリストが必要なことは変わりありません。)
自分の反省としても、自戒を込めて、
ドーンと前に進めることがすべてじゃなくて、ちょっとでも目の前の物事を前に進める人が一番偉いんだ、ということを強く感じました。
今週の半沢直樹を見て、そんなことを思いました。
半沢直樹は、とてもいい作品だと思います。
来週が楽しみです!