三男日記

愛知県蒲郡市出身、今東京におります三男です。日常や社会について思ったことを書いていこうと思います。基本、空論・評論です。自分の勉強も兼ねてやってます。

検察への政治介入について考える。

東京高検の黒川弘務検事長の定年を政府が延長した問題で揉めています。


それが揉めている背景にあるのは、今年の2月で定年を迎えて退官する予定だった黒川検事長検事総長に据えるために定年を延長したのではないか?という疑惑があるからです。


黒川検事長は、検察官の中でも法務省ポストが長い赤レンガ組で、政治寄りの人間だと報じられています。

森友加計、選挙、桜の会など、様々な疑惑を抱える政権にとって、パイプの太い黒川検事長検事総長になることは都合の良いことなのでしょう。


世間では官邸が遂に検察人事に手を突っ込んだか、という話になり、サンデーモーニングでは、内閣法制局長官日銀総裁NHK会長人事と絡めて、検事総長人事が語られています。

 


ただ、敢えて別の視点からいうと、

ジャーナリストの須田慎一郎氏によれば、

もともと昨年末に稲田検事総長の退官・黒川検事長検事総長就任が既定路線であったが、

ゴーン事件の余波で検察側が稲田検事総長が変わるわけにはいかないということで人事の変更を拒み、年を明けて黒川検事長の定年延長をせざるを得なくなった、という事情もあるそうです。

 

そういった、検察側の特有の事情という視点で見ると、官邸の横暴とも言い切れない事情もありそうな気もします。

 


また、東京高検検事長はそもそも検事総長野一歩手前のポストですから、その人物を検事総長に据えること自体無理な人事でもないし、黒川検事長が過去に法務省官房長、事務次官も経験しているという経歴に鑑みれば、無理矢理官邸が横槍を入れたというほどでもない気もしています。

 


とはいえ、こういう事情もある、そんな検察人事問題です。

 


そんなに政権が検事総長人事に介入することが問題なのでしょうか。

 


僕は、手続きの話と本質の話を分けて考えるべきだと思います。

 


結論から言えば、

法律解釈による定年延長のやり方という手続き自体には問題があると思うが、検事総長人事に介入したこと自体には問題はない、という立場です。

 


検事総長人事への介入、ということで、

検察への政治介入を問題にするなら、

かつての造船疑獄事件で、当時の吉田茂内閣の犬養法務大臣が指揮権を発動して自民党幹事長だった佐藤栄作の逮捕を阻止した、ことなどの捜査レベルでの政治介入は問題だと思います

 

https://ja.m.wikipedia.org/wiki/造船疑獄

 


一方で、政権が人事に介入することはあって当然なのではないでしょうか

 


かつて、安倍政権が内閣人事局を通じて官僚の人事に介入した、具体的に言えば、従来の出世ルート、本命と言われていた人ではない人を事務次官(級)にした話が問題になりました。


財務省や、外務省、総務省農水省経産省でしたでしょうか。

 

安倍政権と官僚の人事についての参考

https://www.nippon.com/ja/currents/d00433/


しかし、それは当然の行政権の行使であって、何がおかしいのか全くわかりません。

 

そもそも官僚が内部の論理で人事を決めていたのが問題なのであって、

(そのために大臣が人事を通じて指揮権を行使しづらくなってしまい、官僚主導になってしまう)

旧民主党がもともとやろうとしていた政治主導の一環であるはずです。

 


検察も然りで、検察庁が行政機関であり、法務官僚としての一定の統制を受ける以上、当然の帰結だと思います

 


検察も警察も、存在として権力のためにある機関ですし。そこは動かしようがない事実です。

 

韓国のように検察が組織として暴走しないように政治家が人事権などを通じて歯止めをかけることが求められているのであり、

きちんと政治家が統制を効かせているかを監視するのが国民のやるべきことだと思います。

 

検察が組織として暴走するのでは?ということについては、以前の記事を参考

半沢直樹病」

https://gm-fk20.hatenablog.com/entry/2019/03/11/012401

 


念のため付言すると、その時に検察庁への人事介入というレベルの話は問題ではないということです。

 


ただ、

今回の何が問題かと言えば、特別法である検察庁法の規定ではなく、一般法たる国家公務員法の規定に基づいて黒川検事長の定年を延長した、という「手続き」の話として問題ではありますが、人事に介入したこと自体は検察に睨みを聞かせる範囲内のことであり、恣意的な運用と批判されるべきではないと思います。

 


今回の問題は、あくまで手続き論としての話であって、人事レベルでの検察への政治介入そのもの自体は問題ない、という話でした。

 

皆さんはどう思われるでしょうか。