同じ穴の貉(ムジナ)とは、
一見関係がないようでも実は同類・仲間であることのたとえ。
多くは悪事を働く者についていう。
子育て支援を充実させることで人口を増加させた兵庫県明石市の泉市長の、2年前のパワハラ発言が問題視されていますが、
今回の話は、「聖人君子」のような存在はあるのか?という話です。
今、中国は、アフリカを中心に世界各国への投資を拡大させています。
よく、中国の投資はアフリカ諸国を豊かにしない、と言われます。
中国政府が現地政府にお金を貸し、そのお金で中国企業が、中国人労働者を連れて、インフラを建設するため、お金は中国側に落ちる。[1]
スリランカはそんな中国への債務の罠にはまり、2つの港を中国に譲り渡すこととなりました。[2]
インド洋の国、モルディブは、中国の借金漬け外交によって、政府歳入が15億ドルのところ、対中債務がなんと合計15億ドルにものぼるとみられています。[3]
中国にとって対インド関係で要となるパキスタンも、同様の事情から中国に港を譲り渡したそうです。[4]
急激に台頭する中国に対して、アメリカはトランプ政権になってようやく、断固たる姿勢を取り始めました。
昨年10月に行われたハドソン研究所でのペンス副大統領の演説は、終始中国批判の内容となり、莫大な額を借款し、巨大な債務を背負わせて現地に中国の橋頭保を築いていく外交姿勢を、「借金漬け外交」と批判しています。
アメリカもインド太平洋諸国への資金援助を加速させる方向で進めており、第三国をいかに自陣営に巻き込むか、という点で、いわば冷戦期のマーシャルプランのような様相を呈し、米中の関係は新冷戦とでも言えるような状況ですが、そうした中国との投資合戦に、日本もアメリカ陣営として参加せざるを得ません。
安倍総理も、2016年にアフリカ諸国への大規模な投資を明言しています。
ちなみに、日本の対アフリカ投資額は、中国の対アフリカ投資額の約半分です。
(日本は300億ドル、中国は600億ドルです。)
対中でいうと、日本の援助は、額では到底かないません。
そんな時、よく言われる批判があります。
「中国の投資は現地に技術移転しないから、本当に現地の国のためになっていないが、日本の強みは、現地の人がインフラを管理・保守できるように技術移転することだ。」
というものです。
確かに、日本はODAでは、現地と協力して、「魚を与えるのではなく、魚釣りの方法を教えてあげる」やり方を取っていると言われます。
現状の中国が取っているような、現地の経済を収奪してしまうような進出方法には、双方にとっての持続可能性という点で見ると、確かに疑問を持ちます。
しかし、僕は中国のそうした方法は、あまり他人事には思えません。
別の面では日本も、中国と同じ穴のムジナだと思う点があります。
それは、、、
「技能実習生」です。
技能実習制度の本来の目的は、
「我が国で培われた技能、技術又は知識の開発途上地域等への移転を図り、当該開発途上地域等の経済発展を担う『人づくり』に寄与するという、国際協力の推進」
ということだそうです。
しかし、そんなタテマエ、ほとんどの企業は意識していないのではないでしょうか。
どちらかというと、ほとんどの企業は技能実習生を、「安い労働力」としてしか見ていないのではないでしょうか。
時給が400円でも、渡航前費用の借金を返すために働き続けなければいけない技能実習生もいます。
入管難民法をめぐる審議において提出された法務省の調査では、失踪した外国人技能実習生2870人のうち、約70%にあたる1939人の賃金が最低賃金を割っていたということです。
2017年12月に放送されたガイアの夜明けでは、ある企業が技能実習生に対する未払い賃金を逃れるために、会社を偽装倒産させていた実態も明らかになっています。[5]
企業側からしてみれば、この人手不足の世の中、利益のために使える制度があれば使いたいということなのでしょうし、制度に欠陥があるということですから、一概に責めることはできないと思います。
技術移転なんて、目指してはいない。
そう考えると、構造的には、中国のやっていることに近いような気がします。
現地の国からしたら、中国の投資は願ったりかなったりなわけですし、
技能実習生にとっても、日本で働くことを望んできているわけです。
でも、その裏には、とてつもない負債や、搾取に近い闇が潜んでいる。
日本も、中国と同じ穴のムジナです。
日本だけが素晴らしいことをしているわけじゃないのだと思います。
日本はもちろんすごい点もあるかもしれないけれど、過度に日本の価値観をいいものだ、世界に広めるべきだとするのは間違っていると思います。
また、国連やアメリカと一緒に世界の秩序を・・・と言ったって、
国際連合自体、”United Nations”で「連合国」のことを指していますから、全ての利益を考慮した公平な機関ではないわけですし、
アメリカだって、自由と民主主義の理想を・・・と言っているけれど、本音は自国の覇権を維持することが一番大事なはずです。
そんなアメリカと一緒に活動する日本は、はたから見たら「敵」に見えることもあるでしょう。
だから、絶対的に正しい・素晴らしいだけの存在なんてないと思います。
日本も、よく見れば、同じ穴の貉でした。
「同じ穴の貉」とは、
一見関係がないようでも実は同類・仲間であることのたとえ。
多くは悪事を働く者についていう。
[1] “最後の巨大市場”アフリカ~中国の進出で何が起きているのか?~
https://www3.nhk.or.jp/news/web_tokushu/2018_0912.html
[2] 中国が仕掛ける「債務のわな」、フィリピンには無効な理由
https://forbesjapan.com/articles/detail/24174
[3] ロイター通信からの引用記事
焦点:中国に一体いくら借りた、小国モルディブの困惑と警戒
https://blogos.com/article/342512/
[4] 中国の経済支援で借金漬けに──新植民地パキスタンの悲劇
https://www.newsweekjapan.jp/youkaiei/2018/11/post-28.php
シリーズ「ニッポン転換のとき」第六弾 “絶望職場”を今こそ変える!
このサイトに、放送内容がまとまっていたので、参考までに。
https://matome.naver.jp/odai/2151309059692430001