三男日記

愛知県蒲郡市出身、今東京におります三男です。日常や社会について思ったことを書いていこうと思います。基本、空論・評論です。自分の勉強も兼ねてやってます。

10月論壇時評④「コロナ禍と眞子さまを巡って表面化した日本社会のゆがみ」

コロナ禍は、そうした”マイノリティ”へのバッシングを空気を読みながら行う日本人の良くないところが散見されたように思う。

 

社会学者の宮台真司氏は、ある種空気を見ながら判断していく日本社会について、“近代日本社会が持つ劣化“が顕在化したと述べる。

 

具体的には、自粛警察を挙げ、自粛警察は、コロナ禍でお上にすがる人が自らが不安になったゆえお上に従わない人を叩くという現象が起きたと分析する。

(インタビュー)劣化した日本社会 社会学者・宮台真司さん:朝日新聞デジタル

 

僅かな欠点や違いを見つけ(上記でいえば自分たちが従っているのになぜあいつは従わないのか?という欠点)、それを幻想的な“マジョリティ”の一員として各個人が叩くという日本社会のお家芸は、最近より悪化しているのではないか。

 

眞子さま・小室圭さんへの報道は、日本社会が総じて歪んでいることを露呈した。

眞子さま・小室圭さんの報道は「人権侵害」レベルだった。苛烈なバッシングが浮き彫りにした日本社会 | ハフポスト

 

眞子さまを巡る問題は、日本社会の様々な面での縮図になっている気がする。もちろん悪い意味で。

 

コンサルタントの安川氏は、眞子さまが日本を離れる決断をせざるを得なかった背景には、バッシングはもとより、女性皇族の位置づけと、選択的夫婦別姓が認められていないことなど、日本の伝統的な制度に起因するものが大きいのではないかと指摘する。

18人しかいない皇族の一人、眞子内親王が「人生と心を守るため」に祖国を離れる決意をした本当の背景〜ジェンダーギャップ120位、男系皇位継承、夫婦別姓不可の日本〜|安川新一郎 (コンサルタント、投資家、未来思考「構造と文脈で世界とその未来はシンプルに理解できる」)

 

日本国民は、上皇陛下の初孫、18名しかいない皇族の聡明なお一人を、こころから祝福できない形で失った。渡米後は現地で共働きで暮らされるそうだ。日本に帰国されることも、ほとんどないだろう。我々が、再びお顔をみることも。

と指摘しつつ、最後は

本当に日本を愛する国民は、

 

ジェンダーギャップ指数が世界120位で下がり続け

 

・96%の夫婦が男性姓として婚姻届を出す状態、婚姻時に苗字を選択する権利すらない事実が、男女平等を謳う憲法に違反しないと最高裁が判断し、

 

・6人しかいない結婚適齢期内親王の一人が「人生と心を守るために」「愛する人と」祖国日本を離れる決断をした。

 

この事実の重みと背景を理解し噛みしめる必要があると思う、

 

お二人の記者会見を思って強く感じたこと。

ジェンダー的にかなり後進国であることの現実を指弾している。

 

 

また、先ほどのトレードオフ論でいえば、成城大学の森教授は、眞子さまと小室さんが受け取る支度金を返還する決断をせざるを得なくなったことについて、皇族の人権と絡めて警鐘を鳴らす。

(交論)「皇室のお金」への目 森暢平さん、君塚直隆さん:朝日新聞デジタル

 

森教授は、皇室は国民年金にも入れない中で受け取るお金であるはずで、加えて、結婚祭手が支持されるなら受け取って良くて、支持されない相手なら受け取ってはだめだ、という運用は危険ではないかと指摘する。

 

また同時に、皇族は選んで皇族になったわけではなく、自発的なボランティアでもない中で、お金を払うなと問題になるなら、皇族の存在自体がそもそも問題になるのではないかと喝破する。

 

そうした本質を見据えず、何でもかんでも徹底的にこき下ろしまくったという“日本社会のゆがみ”が、「皇族」とりわけ「女性皇族」という日本の“伝統システム”を巡って図らずも顕在化してしまったことは、少し興味深い気がしている。

 

という形で、10月を締めたいと思う。