自動車運転免許取るときに習わなかったでしょうか。
自動車の車庫証明を得るには、管轄の警察署長の許可がいる、ってやつ。
たぶん、そういう書類って大抵署長印が押されてます。
警察署長でいえば、こういうやつも。
あとは、
時々ある、
「敷地内での〇〇を禁ず 総務局長」っていう看板もそうですし、
情報セキュリティの約束を最高情報管理責任者が誓約してくれてるやつとか、
あとは市役所の申請書類は宛先が市長殿になっていて大体全部市長印でオッケーが出されたりするやつ、などです。
ちなみにパスポートも、日本国外務大臣の印で発行されています。
これって一応偉い人の名前の元で命令されてることだと思うんです。印鑑あるし。
でも、前から思ってたんですけど、
いちいち偉い人がオッケー・ダメとか判断してるわけないじゃないですか?
例えば、車庫証明なんて、いちいち警察署長が見るわけないですよね。
この人の車は、ここの場所で、とか。
うーん、この人がこの場所に止めるのはおかしくないか?ダメだろ、とか。
細かいことまでいちいち判断してないですよね。笑
実際のところ、交通課長とか、もっとその下の係長級で実際の決裁は回ってると思うんです。
かつ、署長なんて、その決裁を細かく確認すらしてない。見てすらいない。
今野敏の警察小説「隠蔽捜査」では、警察署長が判押しにほとんどの執務時間を取られている様子が何度も描かれています。
中身をちゃんと読んでると1日だけじゃな足りないくらい、書類の決裁が回ってくる。
だから無我夢中で押し続けるしかないわけです。
(一応、ちゃんと署長自ら押してるってところがまた面白いですけど)
でも、実際、署長名で出されるけど、
その認可は事実上は「交通課長」とかの認可であるわけですよね。
そこに元からずーと違和感を覚えてまして、
別に署長名にしなくてもいいと思うんですよね。
ウソだから。
〇〇を認める 〇〇課長
とか
〇〇を認可する 〇〇係長
とか。
トップ名で出されるやつって、大抵下で決まってるじゃないですか。
ちゃんと上が見てるならまだしも、上がほとんど中身すら知らないものも多い。
でも、トップ名で出されてるものばかり。
いや、でもですよ。
そうは言っても、トップがある部下を信用してその仕事を任せて、それの分業で組織が成り立ってるわけで、ある種部下の決裁は、トップの代理で行った正当なものといえなくもない。
とはいっても、トップが委任したからと言って、その決裁とか文書の中身把握してないんだったら、
わざわざ名前出さなくても、正直に誰の許可です、とか誰が決裁したやつです、って書けばいいと思うんですよね。
市役所にお願いする補助金の申請書類とかも、市長なんか見てなくて、課長が事実上の決裁権を持って判断して、上はそんなに見てないわけです大抵。
だから課長名で出しちゃえばいいと思うんですよね。市長印押さなくても。
ウソですもん。市長の名前でとか、局長の名前でとか、署長の名前で、とか。
よく道路で見かける立入禁止の看板も、市長名でよく出されてますけど、
それごときで市長いちいち見てないって。笑
これって事なかれ主義なんですかね。
一応、上の人の名前で出しとくべき、出さないといけない、みたいな。
ていう名と実が合ってないことを考えると、思い出すのは、国会答弁でしょうか。
あれ、大臣が答える必要あるんでしょうか。
いちいち大臣が全部の事項を把握してるわけないのに、官僚が分業して必死に答弁作って、直前にレクチャーして、その資料を読みながら国会の質問に答える。
とちったら追及される。
あれほど時間が無駄なものないですよね。
もう官僚に任せちゃえばいいのに。
議院内閣制で、国会が内閣に行政権を委任して、国会議員たる大臣が行政府を指揮監督する構造とはいえ、流石に全ての事項を一人で見るのには限界があります。
官僚に答弁させるのが問題ということであれば、副大臣とか大臣補佐官など、大臣が信頼する第三者的存在にやらせる方がよっぽどいいし、生産的です。
大臣の名の下で、やる必要なんてないでしょ。形だけ。
部下の答弁がダメだったら、トップがその人をクビにすればいいだけ。
トップの名の下でいちいちやる必要なんてないし、形式にこだわりすぎています。
だからトップに無駄な仕事が増えちゃうのかもしれないですね。
上に行けば行くほど、管理の仕事ばっかになる。
日本企業とか、日本の組織のトップって、決断するとかより、そういうよくわかんない決裁とかの仕事が多いって聞いたことがあります。
もっと下に任せたり、下に名実ともに責任を持たせたり、
上は全部は限界だとしてもある一定の事項にはちゃんと注力したり。
トップ名でやる必要なんて必ずしもないし、
それにこだわりすぎてることの弊害もあるんじゃないか、
それの代表例が国会答弁なんじゃないか、
日本の組織ってそういうところがダメなんじゃないか、
っていう話でした。