三男日記

愛知県蒲郡市出身、今東京におります三男です。日常や社会について思ったことを書いていこうと思います。基本、空論・評論です。自分の勉強も兼ねてやってます。

10月論壇時評①「矢野次官の論文をめぐって」

遂に今年も11月に突入した。

 

10月は冒頭から、矢野康治・財務事務次官の論文「財務次官、モノ申す『このままでは国家財政は破綻する』」(『文藝春秋』11月号)で大騒ぎされていた。

 

内容を簡単にまとめると、日本の財政は火の車であり、このままバラマキ政策を続けていくと財政破綻するから無用な歳出拡大はやめるべきだ、という趣旨だ。

 

それに対して、多くの評論家から賛否別れる主張が飛び交った。

 

賛成側でいうと、確実に日本の財政は破綻するであろうと主張する小幡氏の論考がある。

「このままでは国家財政破綻」論は1%だけ間違いだ | 新競馬好きエコノミストの市場深読み劇場 | 東洋経済オンライン | 社会をよくする経済ニュース

 

ただ、今回は反対側の声が大きく盛り上がったように思う。

 

ジャーナリストの長谷川幸洋氏の、数理的な考え方から財務省の考え方を否定するもの。(これは僕は完璧には理解できませんでした笑)

財務次官が「隠蔽」しようとした「不都合な真実」…実は日本財政は超健全だ!(長谷川 幸洋) | 現代ビジネス | 講談社(1/7)

 

や、高橋洋一氏の財務省のバランスシート論にのっとった、財務省の主張が、国家資産を考慮に入れていないことを批判するもの。

財務事務次官「異例の論考」に思わず失笑…もはや隠蔽工作レベルの「財政再建論」(髙橋 洋一) | 現代ビジネス | 講談社(2/4)

 

また、財務省自ら過去に財政破綻することを否定していたことを指摘している中野氏のもの。(☜これは建前と本音を暴露しているようで、かなり痛快)

矢野康治・財務次官「論文」、誰も指摘しない“あまりにもヤバい”問題の本質 | エディターズ・チョイス | ダイヤモンド・オンライン

※ちなみに財務省が、過去日本がデフォルトするであろうことを否定している意見書はこちら

外国格付け会社宛意見書要旨 : 財務省

 

などがある。

 

僕は、この問題に関して結論がどちらが正しいのかは、正直わからない。現代貨幣理論でも勉強しようと思うが、答えは誰もわからない。

 

ただ2つだけ事実としてあるのは、日本の国債はここまで財政が赤字になっているにもかかわらず暴落も金利が異常に上昇している傾向がないということだ。

また、歴史上、自国建て通貨でデフォルトした例は一例もないということも厳然たる事実としてある。

中野剛志さんに「MMTっておかしくないですか?」と聞いてみた | 中野剛志さんに「MMTっておかしくないですか?」と聞いてみた | ダイヤモンド・オンライン

 

真偽はいずれにせよ、財務省の主張は僕は間違っていないと思うし、矢野次官の姿勢は財務官僚としてはあるべき姿勢のように思う。

 

あくまで矢野次官の仕事は「国家のかじ取り」ではなく「財務省の政策の遂行」という点であることを踏まえると、そこまで大騒ぎする話でもないように思う。矢野次官の論文には、経済をどう持ち上げていくか?という話は巧妙に抜けており、その意味で、自らの領域の範疇で、一般論としての異論を唱えたということに過ぎず、特に問題はないのではないか。

 

ただ、若い世代は、財政再建より経済政策を求めている現実があり、それを拾っているのが政治家であることを考えると、政治家のことを“バラマキ”と皮肉めいて批判するのは、財務省の論理では間違いではないにせよ、官僚としては少し筋違いな気がした。

若い世代は財政再建より経済対策を優先|日テレNEWS24