6月ともいえないくらいの猛暑で、電力需給が大きな問題になっています。
今日も猛暑で電力需給ひっ迫 エアコン使用で熱中症予防し照明等で節電を - ウェザーニュース
そんな中、政府は、節電ポイントなる政策を進めようとしています。これは、ウクライナ情勢等に伴う電気価格の高騰対策として打ち出されたものです。
内容としては、節電プログラムに参加する各世帯に2千円分のポイントを支給、その上で節電努力に応じて各社の仕組みに応じて追加ポイントを上乗せ支給する、といったもの。
節電プログラムとは?ポイントの仕組みは?10万件超申し込みも | NHK | 熱中症
参院選を前に、電気価格高騰対策の批判が高まる中、節電プログラムで乗り切れると思ったのか、岸田首相は、6月21日のNHKの党首討論で、
「電気代についても、節電について、ポイント制度、買取制度を用意する。今長期契約で購入している以上の分を購入しようとするとスポット価格で高い価格になってしまうため、その上乗せ部分を節約するということで電気価格を下げることと、需給逼迫に対応しており、一石二鳥の対応だと思っている」
と述べており、自信を覗かせていました。
しかし。
ここに来て、猛暑問題が顕在化しました。熱中症患者も増えています。
【速報】東京都・きのうの“熱中症”搬送者数224人 今年最多、初めて200人上回る 東京消防庁
そんな中、節電してる場合か!?という世論が高まりつつあり、総理は、会見では「この夏は無理せずクーラーを使って欲しい」と述べるなど、
矛盾している感が否めません。
【速報】岸田総理 「無理な節電しないでクーラーをうまく使って」呼び掛け | TBS NEWS DIG (1ページ)
財源は予備費の活用含めてまだ未定とのことですが、どれくらいお金が必要なのかざっくり見てみると。。。
①最低必要なお金
1世帯あたり2千円×5千万世帯=1千億円
※世帯ごと支給のため、世帯数で計算
②節電に応じて必要なお金
1人あたり1kWh削減×10円分ポイント×60日分×8千万人(生産年齢人口)=480億円
※なお、1人あたり1日6.1kWh消費している。世帯人数ごとに世帯消費電力が変わるため、単純化するために1人あたりベースで試算。個人ベースで1kWhを全員が節電すると見込む場合、世帯ごとに節電するよりもかなり多めに見込んでいることになる
https://www.yumesolar.jp/column/power-consume/
※下記参照で、中電ミライズの、1kWh節電あたり10円分支給を仮に採用
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA244GR0U2A620C2000000/
※60日分は、夏の需給逼迫策(と参院選対策)と捉え、仮で7〜8月の2ヶ月分と想定
※8千万人は、①では世帯数にしたものの、世帯あたり人数などの計算を簡略化するために、生産年齢人口で試算。世帯ごと計算よりざっくり多めに試算していることになる。
①と②で、国民への恩恵は、(多めすぎる位見積もって)2千億円くらい?
一方の野党。
国民民主党が、「再エネ賦課金の一時徴収免除」を打ち出しました。規模としても、最大2.7兆円/年。政府の施策と単位を合わせて2ヶ月分としても、4千億円規模。世帯あたりだと年間1万円規模の電気代負担軽減。
これは大きいのではないでしょうか。というかそういえばこんなのあったな。。。という印象。笑
「再エネ賦課金を一時停止に」 国民民主党が追加公約を発表 [参院選2022] [国民]:朝日新聞デジタル
しかも財源は、予備費5.5兆円の活用なので心配なし。選挙にはぴったりのタイミングで打ち込みました。
これを「生活安全保障」を掲げる立憲民主党が先に打ち込むべきでした。。。笑
政府も最初からこれを打ち出すべきだったと思いますが、少しケチケチしちゃったのでしょうか。
それとも、需給逼迫対策の方に目がいきすぎて、まさに一石二鳥を狙った結果、どちらも中途半端、かつ熱中症の危機が想定外に肥大化し過ぎてしまったといった感じでしょうか。
今般の問題は、元々
a電気価格の高騰
b電力需給逼迫
の2つの問題があり、単に高騰対策だけではなく、需給逼迫の改善もしないといけない、、、となった時、a.bはともに電力使用量を抑える方向にベクトルが向いているために、「節電ポイント」を政府は打ち出したのだと思いますが、
そこに
c猛暑来襲
という第3の矢が飛んできたという感じで、a.bのベクトルとは真逆の、電気使わなきゃいけねえ、という状態に追い込まれたことで、少し迷走しつつあるという状況かと思います。
しかも選挙というファクターも噛み合い、国民からしたらbは遠い問題だけど、aとcは深刻な問題なので、aとcだけを着実に取りに行った国民民主党の政策はうまいなと思った次第です。
(なお、国民民主党は原発再稼働も唱えており、そもそも「節電より発電」も唱えているので、bに関して無責任と言うわけではなく、国民が関心のあるaとcに、マクロ的な問題であるbの解決をリンクさせていないことに良さがあると思います)
国民目線からしたら、節電なんて言ってる場合じゃないですからね。。。需給逼迫なんて知ったことか、ってなりがち。
とはいえ、需給逼迫はこれからも続きそうなので、原発に頼るのか、それとも再エネに振るのか、または天然ガスや火力を活用するのか?またはその他?
などの抜本的な方向性を決めないといけません。
そういう針路をしっかり決めず、エネルギー政策を後回しにしてきたツケを、全員で払わされている印象を受けたこの初夏でした。(もう初夏じゃない?笑)
(政府も、なかなか腰を上げて原発再稼働を進めてないと思います。電力会社の不手際もあるかもしれないですし、一方で政府がどこまでリスクを背負うのかの覚悟も必要です。
※参考「再エネ賦課金を一時停止に」 国民民主党が追加公約を発表 [参院選2022] [国民]:朝日新聞デジタル)