三男日記

愛知県蒲郡市出身、今東京におります三男です。日常や社会について思ったことを書いていこうと思います。基本、空論・評論です。自分の勉強も兼ねてやってます。

タブーの生まれ方

こんな投稿を見ました。

 


安倍総理大臣が取り組んできた北方領土問題が解決の兆しが見えなくなってきているのではないか、という状況に対して、安倍外交の失敗だ!と指摘する投稿です。


https://twitter.com/hiranok/status/1142982831800344576?s=21

 

https://twitter.com/hiranok/status/1142982831800344576?s=21

 

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参考

https://www.at-s.com/sp/news/article/politics/national/716099.html

 


結論から言うと、

僕は、こういう、難題とされている課題へのチャレンジに対して、結果だけ見て批判するやり方には反対です。

 


こういう批判をしてしまうから、政治家が難題に取り組みづらくなってしまうんだろうなと思っています。

 

 

最初に誤解のないように言っておくと、

これを書かれた平野啓一郎さんは出生地が愛知県蒲郡市だそうで、勝手に親近感を持っておりますし、

何より、平野さんが書かれた小説「マチネの終わりに」は小説も映画も見て、このようなおしゃれな表現で愛の物語を書くことができるのか…と尊敬しています!

 

 

なので、これはあくまで意見に対する批評であって、本人自体に対する批評ではないことだけ、付言させてください。


さて、

北方領土の例で、説明に戻ります。


北方領土問題は、長らく未解決の懸案として日露間に横たわってきました。

鳩山政権での日ソ共同宣言以来、橋本龍太郎政権など、様々な政権で取り組まれてきました。


とはいえ、北方領土を返せ!といくら叫んだって、

普通に考えたら、戦争に勝った側が、何の条件もなく獲得領土を引き渡すはずもないですよね。

 


たとえ北方領土ポツダム宣言を受諾した後に不正に占領したものだとしても、日本も日露戦争の時に、樺太を同じような手口で占領してますし、

ロシアのやり口は汚い!という言い訳は通用しないんだと思います。

 


だから今のところ北方領土がロシアのものであるという現実は受け入れるしかない。

 


そうした懸案だからこそ、政府は何度も取り組んでたものの今に至るまで解決していません。このままでは、永久に北方領土問題が解決しないことになってしまいます。


そんななかで、

悪い言い方をすれば、選挙での票にも繋がらない北方領土問題を解決し、日露関係を正常な状態に戻そうとしている安倍政権の姿勢は評価できると思います。

 


もちろん、それが安倍総理の個人的なレガシー作りだとしても、北方領土を解決するということ自体が国益に資するのであれば何も問題はないと思いますし、

その分長年の難題であるのですぐにスパッと解決、なんてことはあり得ないと思います。

 

 

僕が言いたいのは、

そういう歴史的経緯・現実の政治状況を踏まえずに、平野さんのように敬意なく批判してしまうと、今後誰もおいそれと北方領土問題に手をつけられなくなってしまうのではないかと思う、ということです。

 

もちろん、外交上は失敗なので、なぜうまくいかなかったのか?どうすればよかったのか?をきちんと検証していくことは必要だとは思います。

 

ただ、こういう、票にも繋がらないけど、解決しなきゃいけない問題に取り組む人を評価しないと、本当に大事な課題に取り組んでくれる政治家はいなくなってしまいます。

 

 

多分、政治が触れられない「タブー」とは、こうやって生まれてしまうんだろうと思います。

 

 

そうしたテーマにおいては、途中の議論の過程を見ずに、その取り組みの結果のみに対してガヤから短絡的に批判してしまうと、

これからはややこしい問題に触れるのはやめよう、目の前のその場しのぎの評価を良くしよう、となってしまうのではないでしょうか。

 

取り組まないといけないのはわかってるんだけど、下手に取り組むと批判されるから、手をつけずにおこう‥‥‥と。

 

 

財政再建の問題がなかなか政治家に触れられないのも、それに近いのではないでしょうか。


本当は消費税を上げるべきかもしれないし、もっと歳出を削減して、財政状態を改善しないといけないのかもしれないし、長期的には社会保障の給付を削減しないといけないのかもしれない。既得権が大きくて、手をつけづらい領域です。

 

 

日米関係も政治においてかなりタブーになっているような気がしますが、それも同じだと思います。

 


僕は、旧民主党鳩山由紀夫政権の日米関係見直しの姿勢自体は、好きです。

 

https://gm-fk20.hatenablog.com/entry/2019/01/02/222524

 

鳩山さんは、日米同盟を抜本的に見直そうとして、日米対等な形で再定義すべきではないか?という、日米関係をフラットに見つめようとしたと思います。ただ、根回しなど、手法の面でうまくやることができず、結果として日米関係が悪化してしまったのは事実です。


でも、そういう懸案というか、自民党政権下で誰も切り込めなかったタブーに取り組もうとする政治家を評価しないと、今後誰も難題に挑めなくなり、現状維持が続いてしまいます。

 


だから、たとえ結果が失敗したとしても、安倍さんの北方領土に取り組む姿勢は評価したいし、鳩山さんの日米関係を見直そうとする姿勢も、評価したい。

 

 

政治家は結果が全てだけど、全てなんだけど、僕らの判断軸までそれだけになってしまうと、ほんとに選挙のことだけを意識した政治家ばかりになってしまう。

 

「タブー」が生まれないように、

また「タブー」が「タブー」のままであり続けられないように、

ちゃんと政治の結果だけじゃなくて中身も見て評価した方がいいのではないかなと思います。

 

 

政治のタブーって、こうやって生まれるのかな?という話でした。

 


(一応)

でも、一方でこうして僕が批判することで、政治家を批判することがタブーになっちゃうかもしれないのですが、批判の仕方に配慮があったほうがいい、ということです。