三男日記

愛知県蒲郡市出身、今東京におります三男です。日常や社会について思ったことを書いていこうと思います。基本、空論・評論です。自分の勉強も兼ねてやってます。

「街」について考える。

久しぶりに渋谷に行ったら、思わずびっくりしてしまいました。

 


見慣れた景色に、高層ビルが付け加わってる‥‥‥。

 


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そういえば、渋谷ヒカリエを端緒に、渋谷の街は再開発され、整えられようとしています。かつての雑多なカオスさは消えつつあり、ビル群が立ち並ぶ近代都市へ脱皮するのでしょうか。

 


さて、様々な文化を生み出してきた渋谷の良さは、多分、雑多さにあったのだと思います。

 

ごちゃごちゃしていて、色んなものが渦巻いている感じ。

 

 

無秩序、とでも言えるでしょうか。

 


文化の最先端である原宿とかは、ごっちゃごちゃですよね。竹下通りとか特に。


店は、ここにしかない個性ある店がちらほら。独自の世界観を醸し出しています。

 

 

一方、秩序ある街並みとは、新宿、池袋に代表されるような、ビルたちに街並みが整えられた街が例としてふさわしいだろうと思います。

 


入っている店も、だいたいどの街にもある店の焼き写し。百貨店もしかりです。

 


渋谷はまさに、個性のない、新宿、池袋のような街になろうとしています。

 

 

ただ、秩序ある街が悪いというわけではありません。

 

 

便利なのは、やはり整えられた街の方であり、買い物も手軽に、値段の心配もなく、クオリティも安全です。

 

 

無秩序な街の方は、不便です。

 

  
世界観もよく知らないし、自分が欲しいものがあるのかもわからない。一見さんお断り感も漂う。1つの場所で買い物完結しないし。

 

 


ただ、ありきたりな言い方ですけど、そういう無秩序の不便さの中にこそ、隠された文化があるような気がします。大事なものが残されている気がします。人の心とか?笑

 


そういうものを、「街の個性」と言ったら過言でしょうか。

 

 

新宿で言えば、歌舞伎町の東にあるゴールデン街、渋谷の高架横にある飲んべえ横丁などは、ごちゃごちゃしてるけど、趣があって、落ち着く空間です。

 

最近注目されてる谷根千なんかは、まさにその代表例でしょう。あそこにしかないもの、あそこでしかできない体験が詰まってる。

 

そんな個性が、やっぱりいいなと思います。

個性ある街が、やっぱり好きだなと思います。

 

 

 

街の個性

 

 

 

中核都市という街があります。


平たくいうと、地域の中の生活基盤や、経済の中心となっている都市です。

 

 

愛知県を例に出します。


県庁所在地であり巨大な都市である名古屋市ほどはいかないけれど、自分の街の近くにある、割と大きめな人口規模の街で、愛知県だと、岡崎市豊田市豊橋市があたります。

(名古屋も厳密な定義だと中核都市にあたりますが、今回はそういう大都市は除いて考えてください)


僕が住んでいた蒲郡市東三河地方の一員で、豊橋市の経済圏に組み込まれていましたから、蒲郡にとっての中核都市は、豊橋だったわけです。


豊橋東海道新幹線も止まりますし、電車の乗り換えの要所でもあります。まさにプチターミナルです。

 

 

最近、そんな豊橋が衰退しつつあります

 


交通の便がよくなり、みんな名古屋や、近くの岡崎のイオンモールなどに出かけてしまうからです。


豊橋にも、駅ビル、百貨店はありますが、正直言って面白くない。


だって、あるものはすべて名古屋の百貨店や駅ビルにあるものですし、

言っちゃえば名古屋の縮小版焼き写しです。

 

どうせ豊橋に行くなら、ちょっと時間かけてでも名古屋に行きたいと思います。生活の中でそんなに買い物ばかりするわけでもないし。

 

 

豊橋で買い物をする理由があまりないのです。

 

 

多分、そういう街は至る所にあるのではないでしょうか。

 

 

ある程度の人口規模を持った都市で、地域の経済圏の中心であるがゆえに、大都市のミニチュア版になってしまっている街

 

 

そういう街は中途半端に都会であるからこそ、個性がない。

愛知の例で言えば、名古屋ほど都会じゃないけど、ちょっと街は整ってて、買い物もできるが、名古屋の縮小版に過ぎない、とか。

 

 

確かに、近くに都会があったら、便利ですよね。

もともと、高度成長のように右肩上がりの時は、みんなバンバン買い物してたんでしょうし。

 

 

でも、今の時代、そんなに前向きな空気はないし、どうせ買うなら‥‥‥とでかいところに行っちゃう。確かに、どうせ出かけるなら、でかいところ行きますもん。

 


都会っぽくなるということは、利便性が増すことを意味します

 


イオンモールとか、そうでしょう。

 


田舎者あるあるとして、イオンモールが近くにあることを自慢すること、結構ありますよね。または、遊び場がイオンモールとか。

 


便利にはなりますけど、一方で、イオンモールには、個性が全くありません


どのイオンモール行っても、テナントは全く一緒。店の規模の大小はあれど、あれ、何が違うん?っていう程度に同じです。

 

 

そこには街の個性はありません

イオンモールが楽しいのであって、その街が楽しいというわけではないように思います。もしくは、イオンモールが儲かっているのであって、その街は儲かっていません。

 


月並みな言い方ですけど、どちらかといえば、商店街などの普通の生活感ある街並みにこそ、個性が宿るのではないかと思います

(かつては商店街という街のモデル自体が画一化されたモデルだったのだけれど。)

 

 

住民の生き生きとした姿や、生活習慣とか。店そのものの個性とか。

 


でもそういう街って正直不便だし、あまり使いづらいのかもしれません。

 


ひとは、街にそんな個性を求めないのかもしれません。

 

 

こんな話を聞いたことがあります。

 


ある外国人が、日本の文化に触れようと京都に行こうと思い、JRの京都駅で降りて、あまりの駅の近代感にがっかりしたそうです。求めてた京都と違うし、そもそも京都は古都の街並みではなく、ビルも立っちゃってるし、ポツポツと寺社がある程度。

 


今、高山や小布施に観光客が集まるのは、多分外国人は日本ならではの体験を求めているし、個性ある街並みにはやはり価値があるということなのだと思います。まさに街が儲かっている感じ。

 

 

確かに、スペインに旅行した時、スペインの街並みは西洋建築で整えられていて、歴史を感じ、歩いているだけで楽しかったのを覚えています。

 

 

これは、まさに街の個性なのではないでしょうか。

 


一方、東京を考えてみます。


東京の玄関口である丸の内。


ビルしかないですよね。

東京駅から皇居まで続く広い通路はいいとしても、時折三菱系の古い建物があるくらいで、あとは全部ガラス張りのビルばかり。丸の内っていう感じはあまりしません。歴史も特に感じない街並みです。

 

これぞ、商業主義の結果のような気がします。1つの土地を有効活用するために、ビルを建てて、テナントを入れる。できる限り儲ける。(この場合の儲かっているのは、街ではなくて、ビルや土地の所有者、開発主体だったりします。イオンモールの例と近い。)

 

 

多分、「街」はただ消費されるだけの存在と捉えられているんだと思います。

 


街を使っていかに儲けるか、とか。

経済を回すだけの場所になっていたりとか。


インバウンド、クールジャパンというけれど、日本自体、多くの街は、歩いていて楽しくありません。特に東京。

 


秩序はあるけれど、個性がないからです。

 

 

しかし、街に個性があるだけでは食っていけないし、生活することはできません。

よそから来た人は個性を求めるかもしれないけれど、毎日住んでいる人からしたら、個性なんてお金になるかどうかわからないものよりも、確実に人が集まるような街の方がいいのかもしれません。

 

 

街に個性を!という綺麗事だけいうつもりはありません。

 


僕は、街にはもっと色んな評価軸があっていいと思います。街を使ってただ儲けるためだけのものじゃない気がします。

 


今の日本は、右肩上がりの経済の名残で、どの街からも最低限の儲けを作ろう、効率よく儲けよう!という魂胆がある気がします。

 


でも、最早そんな時代ではない気がします。

 


買い物はネットでできる時代。

言っちゃえばネットでなんでもできちゃう時代。

仕事ももしかしたらテレワークでもできるかもしれない。

 


そんな時に、その「街」の存在意義は、どこにあるのか、目指すべき姿はどこにあるのか、を真剣に考え直すべき時代なのだと思います。

 


これは、自治体だけの問題でもないと思います。色んな人が関わる必要があるとと思います

 

 


いろんな利害があって難しいけれど、日本という国の個性にも関わる、大事な問題のような気がしています。