三男日記

愛知県蒲郡市出身、今東京におります三男です。日常や社会について思ったことを書いていこうと思います。基本、空論・評論です。自分の勉強も兼ねてやってます。

日本とイギリスは似ている。

イギリスでは、EU離脱協定案が議会で否決され、いよいよイギリスのEU離脱問題の先行きが見えなくなってきました。

 

このままだと、離脱協定なしでの離脱もありえます。

 

イギリスのEU離脱に伴う今後のイギリスのヨーロッパにおける立ち位置について、面白い記事がありました。

https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/01/eu-155.php

 

その記事は、イギリスはEU離脱によってEUから孤立し、ヨーロッパ、ひいては世界全体での存在感を失っていくだろうと言います。

 

何より、EU市場から抜け、イギリス市場単体となってしまったために、経済的にどの国にも相手にされなくなるだろう、ということです

イギリスにとっての理想は、EUのみならず世界各国と現状より有利な貿易協定を締結することでしょうが、イギリス連邦の一員であるオーストラリアニュージーランドにとってでさえ、イギリスよりEUとの貿易協定を優先しているようです。

 

6500万人の市場と、4億5千万人の市場では、後者を優先するのは、当然でしょうか。

 

また、本記事によれば、「特別な関係」であるアメリもトランプ政権であり、イギリスとの貿易協定で譲歩するとは思えませんから、イギリスに有利な交渉は期待できない。

中国も、米中貿易戦争でイギリスにかまっている余裕がない

 

つまりイギリスは、ブレグジットの結果として世界から取り残されてしまう、ということでした。

 

僕はその記事を読んで、納得感があった反面、どこか他人事に感じられない自分がいました。

 

イギリスはヨーロッパ(EU)という大きな船に乗り遅れたことで、世界から取り残されてしまう・・・・・・?

 

 

あれ、この状況、何かに似ている・・・・・・。

 

 

 

あ、日本だ。

 

そうです、日本です。

 

 

僕は、「イギリス」と「ヨーロッパ」が置かれている関係と、「日本」と「アジア」の関係に似ているなあ、と感じました。

 

 

どういうことか。

 

 

順を追って考えてみたいと思います。

 

今後、世界経済のドライバーが「アジア」であることは間違いないでしょう。

 

 

その「アジア」が世界経済の中心になっていくという傾向に関して、興味深い指摘があります。

 

マッキンゼーが予測する未来」(https://www.amazon.co.jp/dp/4478069433)で示されている、「世界経済の重心」の移動の話が興味深かったです。

 

※世界経済の重心とは、地域別の経済規模を地図上に比例配分し、重心となりうる地点をマップしたもの。

 

 

結論から言えば、世界経済の重心はアジアから始まり、アジアに戻りつつあるのだ、という話です。

 

重心は、1世紀から1500年くらいまでの間、当時から世界最大の人口を抱え、経済大国だったインドと中国の国境辺りに長く踏みとどまっていました

 

都市化や産業革命により、イギリスで始まった経済成長がヨーロッパに広がり、アメリカを巻き込んだことで、19世紀にかけて重心はヨーロッパ寄りに移動し、2度の世界大戦を経て、アメリカの経済の覇権が確立した結果、北米寄りに移動し、大西洋上に位置しました。

 

欧米寄りに位置したその重心は、1980年代、第2次世界大戦後に驚異的な復興を果たし、世界第2位の経済大国となった日本、そしてその後に続いた韓国に引っ張られて東に移動し始めました。それと同時に、「眠れる獅子」だった中国が目を覚ましました。

 

中国の急速な経済成長や、それに続くインド、東南アジア諸国の経済成長の結果、1990年代から2000年代にかけて、その重心は急速にアジアに回帰し出しました。

 

つまり、世界経済の重心の足跡は、アジアに始まり、欧米を経由して、やっと今、アジアに戻りつつあるということです。

 

(※一時期話題になっていましたが、20世紀におけるGDPの世界における変遷を示した面白い動画があります。https://youtu.be/KcNU_-rkYnI

 

 

そうした傾向は、数字においても表れています。

 

世界銀行が発表した経済成長の見通しにおいて、世界経済の成長をけん引しているのは、明らかに「アジア」となっています。

 

2017年の世界経済の平均成長率が全体の平均が3.1%、先進国が2.3%であるのに対し、東アジア大洋州地域は6.6%、南アジア地域は6.2%を記録しています。

 

2021年の予測では先進国の成長率が1.5%と予測されるのに対し、東アジアでは5.8%、南アジアでは7.1%が予測されており、中国・インド・東南アジア諸国が著しい経済成長を遂げる(遂げ続ける)であろうことがわかります。

 

 

さて、そうして世界経済の中心となる「アジア」ですが、

僕が疑問を持っている点が、その「アジア」に日本は含まれていないのではないか、ということです。

 

 

いうなれば、日本は「アジア」から取り残されてしまうのではないでしょうか。

 

IMFの世界経済見通しによれば日本の成長率は%付近で低迷し、世界全体に占めるGDPの割合も、2000年には14.3%だったのが、2020年にはわずか4.93%。

 

 

加えて、今やアジア経済の中心は東京ではなく、シンガポールです。

既出の「マッキンゼーが予測する未来」によれば、P&Gは2012年に化粧品・ベビー用品部門をアメリカからシンガポールに移転、ロールスロイス社も2009年に船舶用エンジン事業をロンドンからシンガポールに移しましたし、ユニリーバも2013年にイギリス以外で世界初となるリーダーシップ研修センターをシンガポールに設置したそうです。

 

さらにダイソンは、1月22日、本社をロンドンからシンガポールに移すことを発表しました。笑

(ここでもイギリスの話とアジアの話が繋がってきたー笑)

 

 

また、世界金融センター指数では、東京は香港・シンガポール・上海に次いでアジア内で4番目に位置するなど、金融センターとしての地位も後塵を拝しているようです。

(参考https://www.longfinance.net/programmes/financial-centre-futures/global-financial-centres-index/

 

 

そう考えると、人口減少を迎え、経済も低迷する「日本」の存在感の一層の低下は避けられないと思います。

 

 

世界経済の重心に躍り出る時に使われる「アジア」という地域の中に、日本は入れているのでしょうか。

 

 

僕は「アジア」から取り残されてしまっているのではないかと思っています。

 

 

その状況って、イギリスと近くないですか。

 

魅力的なヨーロッパ市場という中には、イギリスは入っていないし、政治的にもイギリスは独自路線を歩もうとしている。

 

経済成長著しいアジア市場という中には、きっと日本は入っていないし、経済力の低下に伴い、政治的な存在感の低下も避けられない。

(何より日中・日韓関係は概してよくありません。韓国にはレーダー照射事件などで無碍に扱われ、総じてなめられています。)

 

 

まさに、

イギリス:ヨーロッパ=日本:アジア

なのではないでしょうか。

 

 

中西輝政の「大英帝国衰亡史」によれば、第2次世界大戦時、イギリスは結果としてドイツに全面的に参戦することになりましたが、その選択は、当時のイギリスが持つ経済力・資源に見合ったものではありませんでした。

 

それでも、チャーチル首相が全面参戦を決断してしまったのは、それまでの大英帝国としての、いわば「帝国のリーダー」としてのプライドによるものでした。

 

(本書に引用される、歴史家コレリ・バーネットは、「敗戦よりも、国力の根底を費消し尽くした勝利の方が、国家にとって一層危険な場合がありうることは、スペイン以来の大国の衰亡史が教えるところでもある」と述べています。

また、本書によれば、イギリスが第2次大戦に「勝利」したのちも、イギリスでは配給を始めとする厳しい戦時統制が維持され、所用でイタリアやフランスに出かけたイギリス人は、早くも戦前の状態に戻り、配給などつゆ知らず、ワインも飲み放題という情景に腰を抜かしたと言います)

 

 

歴史的にもイギリスに学べば、

日本も、客観的に自らの姿を顧みなければならないのだと思います。

 

日本人は、自らの「経済大国」としてのアイデンティティは捨て去り、いわば「第2の敗戦」として、戦後モデルからの脱却を図って再スタートを切る時期に来ているのかもしれません。

 

EU離脱や第2次世界大戦のイギリスの例を対岸の火事と思わず、日本も、アジア経済の成長の波から取り残されないようにしなければならないと思います。

 

 

イギリスのニュース記事から、このようなことを思いました。